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中門

木造建築木造建築の粋を尽くした法隆寺は、門といえども無視できない魅力があります。法隆寺全体の入り口となるのは南大門ですが、この門をくぐって先へ進むと、やがて西院伽藍の入り口として現れるのが、法隆寺の中門です。

中門

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左右両側に松の緑を配した中門は、二層の造りになっていて、大きく貼り出した瓦屋根が目を引くさまは、門というよりも楼閣のよう。

ギリシャから中国伝来のエンタシスの柱がここにも使われていますが、そのうちの1本が人を拒むかのように中央に立っているのが独特です。これは、ここでいったん気を鎮め、敬虔な気持ちになって入るようにという合図なのかもしれません。

法隆寺の中門には、それにもうひとつ、そのまま中に進んではいけない理由があります。

法隆寺中門は、実は現在は入り口としては使われていません。拝観者のための入り口は回廊の西南隅にあります。

その入り口に回る前に、先を急ぐことなく、中門の左右に立つ我が国最古の仁王像、金剛力士像を見ておきましょう。一対の金剛力士像のうち、大きく口を開いて右に立つのが阿形(あぎょう)像。口を閉じてやや左下をにらみつけて左に立つのが吽形(うんぎょう)像。

どちらも法隆寺創建時ではなく奈良時代に入った711年に造立されたものですが、長い年月むきだしのまま風雨にさらされてきたために、もともとの状態からは大きく変わっています。

朱色の阿形も、黒色の吽形も、塗りは相当に落ちています。また、2つの像は本来は木の芯の上から粘土で肉付けし、形を整える塑造という手法で造られた塑像ですが、吽形像はすでに16世紀に顔以外の部分は木造に作り替えられています。